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つくり込まず、ミニマムな空間に。
それが、ご夫妻がいちばん望んだ家の形だったという。
心からくつろげ、愉しみのある一家の「ホーム」を訪ねた。



「家を建てるために岩手に帰ってきました」

「引っ越してから家にいる時間が格段に増えました。以前は休日になると必ず出かけていたけれど、子供たちが家の中や家のまわりで遊んでくれるようになりましたから」と言うご夫妻。あたたかい視線の先には、バルコニーで夢中になって雪遊びをする長女の姿が。冬のやわらかい日の光に加え、薪ストーブのじんわりしとした暖かさに家全体が包まれている。

ご夫妻は酪農家で肉牛を育てている。自宅のすぐ隣にある牛舎には母牛、仔牛合わせて50頭近くがおり、365日世話が欠かせない。毎月2頭の母牛が出産をするが、出産間近になるとほぼ24時間体制に。そんな時、自宅が近いことが多分に役に立つのだ。

もともと農家である実家を継ぐため、奥さんはご主人とともに岩手に帰郷。当初から実家の敷地内に新居を構えることを予定していた。偶然チラシを見て訪れた、同じ雫石町内の工務店、森の音の住宅見学会で直感的に「いいな」と感じたと言う。木がふんだんに使われ、心地よい雰囲気が気に入ったのだ。

その後も展示場を回ったり幾つか見学会へ出かけたりもしたが、やはり最初に好印象を受けた森の音に家づくりを依頼することに。話をしていて感覚的に合うこと、また、「わがままを聞いてくれそうだと思った」(ご主人)ことが決め手だった。



家族が集う「ホーム」を

家づくりにあたり、ご夫妻がまず伝えたのは「とにかくシンプルに」ということ。インテリアも好きで、住みながら自分たちの色を加えていきたいという考えから、懐の深いおおらかな空間を要望した。それに応えて、同社の櫻田文昭代表はほとんど間仕切りを作らず、1階と2階も吹き抜けで繋がる一室空間をつくり出した。「お二人の雰囲気に合う快適な空間をつくりたかった」と櫻田さん。必要な要素だけを残す引き算の作業だったという。

道路からの視線を遮るため2階のLDKを配し、1階は寝室や将来の子ども室となるフリースペース、水まわりとした。また、ご夫妻揃って料理好きということもあり、キッチンにはこだわった。自分たちで選んだガスコンロや、ステンレスの業務用シンクと木製キャビネットを組み合わせ、壁は全面タイル貼りに。「仕事柄、汚れた作業着で帰ってくることも多い」という二人のため、玄関土間を広くとり、スタイリッシュな洗面台を設置。洗濯機を置けるスペースも作った。土間では、子供たちとピクニック気分でご飯を食べることもあるのだとか。「酪農という仕事は、ほとんど休みがない一方で、家にいる時間も長いのでくつろげる空間にしたい」との思いが強かったご夫妻。「やっと自分たちの『ホーム』ができたので、これから子どもたちの成長や生活スタイルに合わせて柔軟に変えていきたい」と奥さんが語る。自然体で飾らない一家の姿が、家の佇まいとなった。




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